ご褒美 中城 佐貴子 (養護学校)
わたくしは小児マヒで両手が不自由です。
母と二人暮らしですが、母はいつもどんなときでも
笑顔でわたくしを励まし育ててくれました。
だからわたくしの笑顔の中にいつも母が傍らにいて
くれるんです。諺に「笑う門に福きたる」といいますが、
もしも福の神さまが笑顔のご褒美に「お前の両手を
30分だけ自由にしてあげる―」・・・と言われたら
わたくしは3つのお願いをします。
ひとつ、母の肩を按摩し、たたいてあげたい。
ふたつ、父の仏壇に両手を合わせて拝みたい。
みっつ、あたたかいご飯でおムスビをにぎって
母とピクニックのお弁当をつくりたい。
夢でもいいからご褒美をいただきたいです。
毎年、子どもたちに「ご褒美」の詩を紹介してきました。
中城さんの言葉に触れる度に、中城さんの美しい心が私の心を洗ってくれます。
世の中には、こんなに美しい心で生きていらっしゃる方がいる。
子どもたちも、きっとそれぞれがそれぞれのことを感じていたと思います。
森信三先生が「教育とは人生の生き方のタネ蒔きをすることである。」
とおっしゃっています。
私は、何十年も教師として生きてきて、教師という仕事は、とても儚い仕事だと思うことがあります。一所懸命、真心を込めて人生の生き方のタネを蒔いても、その花が咲く瞬間は見ることができないからです。それでも、いつか美しい花が咲くことを信じて、タネを蒔き続ける。とても儚いけれど、とても尊い仕事だと信じています。
私は、子どもたちの心に、どれだけの美しい心のタネを蒔けたのだろうか。
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