教師になると決めた時、父から本をもらいました。
それは、森信三先生の「生を教育に求めて」という本でした。
「笑顔を忘れた女教師」は、「歌をわすれたカナリア」以上に
哀れな、かつ困った存在だといえましょう。
その本の中で、一番心に響いた言葉です。
毎日、笑顔を大切にする。と決めて、教育実習に行きました。
教育現場にいき、教壇でいつも怒った顔をしている先生を見て、
「どうして、笑顔で教壇に立たないのだろうか。」と疑問を持ちました。
そして、教師になって気づきました。
教壇に笑顔で立ち続けることの難しさです。
いつも、学級では色々なことが起き、事務的な仕事も山ほどあり、激務の日々でした。
初めて学級を持ったときに校長先生から言われました。
「先生、子どもたちにとって、友達のような先生なってはいけませんよ。」
「先生、子どもたちからなめられないようにしてくださいね。」
と保護者から言われました。
友達のような先生になってはいけない。なめられてはいけない。という必死な思いから、いつしか私は、笑わないこわい顔の先生になっていました。
そして、ある日、子どもに言われました。
「先生、どうしてこんなこわい顔をしているの?」
あれだけ笑顔が大事だと思っていたのに・・・・。
自分自身、とてもがっかりして、涙が溢れました。
今まで、子ども達になめられないように強い先生を演じていた自分がいたこと。
私にとって最大の武器は「笑顔」であること。
日々笑顔でいることは努力をしないとできないこと。
たくさんのことに気がつきました。
そこから、笑顔磨きを始めました。
笑顔でいられるような働き方を工夫しました。
子どもたちが、将来、私のことを思い出すことがあったとき、
笑顔であってほしいと思い、笑顔を大切に、笑顔を育んできました。
ある年の3月末の出来事です。
保護者の方と話をする機会がありました。
「 先生、一年間ありがとうございました。
実は、娘の○○は、学校に行くことが嫌という日が何回もあったんですが、
その度に、先生の笑顔が見たいから学校にいく!!といって、学校に行ってくれて
いたんです。先生の笑顔に救われていたんですよ。」
とおっしゃってくれました。
私の笑顔一つで、子どもたちが学校に来てくれることを初めて知りました。
笑顔のチカラは偉大です。
教師が、にこにこ笑っていると、子どもたちは安心して生活できるからです。
教室は安心できる場所だからこそ、のびのびと学習できます。
びくびくした毎日では、よい成長はできないのです。
教師の笑顔のチカラは、子どもたちの心にとって一番大切なのかもしれません。
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